起業したい!
友達が起業していて成功を見ていると、「自分も起業したいな」と思うものです。
私の友人も5名ほど、起業しました。その前に相談も来られました。
時間を作って、私が起業して大変だったこと考えなければならい事をすべて伝えたつもりでした。
失敗して欲しくなかったし、笑っていてほしかったから。。
でも結局は2名は1年で廃業。1名はパートに戻り、1名は行方をくらましました。
その失敗事例を紹介します。
- 1 わずか半年で自己破産!
- 2 法人化することで仕事が入ることはない!
- 3 さてさて、その後どうなったか??
- 3.1 1ヶ月目(前半):事務所の改装と看板、名刺、広告づくり
- 3.2 1ヶ月目(後半):スタッフ全員で何をするかを決める毎日会議
- 3.3 2ヶ月目(前半):今までのお客様に案内状、挨拶まわり
- 3.4 2ヶ月目(後半):営業活動と打合せ・飲み会
- 3.5 3ヶ月目(前半):仕事ないですか?の電話
- 3.6 3ヶ月目(後半):従業員の仲が悪くなる。社長もうつ気味に。
- 3.7 4ヶ月目(前半):30万円で委託した仕事が、クオリティ低くて悶絶。
- 3.8 4ヶ月目(後半):来月から始まる返済をどうするか?手持ち80万円
- 3.9 5ヶ月目:自己破産を考え始める。
- 3.10 ラスト:家賃が払えず、返済が払えず、やむなく弁護士へ。
- 4 私は、安易な起業は進めません!
わずか半年で自己破産!
当時の年収は高かったのは理由があります。大手の企業に業務委託として入っていたから。約3年の契約でしたが、契約終了を目前に「自分のノウハウを書籍化する」という目的をもって法人化されました。当時は付き合いのある銀行からも法人化を薦められたり、出資する人もあらわれ、見るからにバブリーな感じを醸し出していました。
彼との出会いは10年前、前から考えが甘い人でした。
当時から仕事を一緒に行っていても、考えが甘いなーという雰囲気を持ち得ていた彼。だけど会話は抜群にうまい話術を持ち得ていました。
私はどちらかというとコツコツタイプ。正反対の彼はとても魅力的に写りました。
会話を活かしたコーチング・コンサルティングを専門に
残念だけれど、会社のリストラにあい退職し、フリーランスの道へと進みました。
甘さゆえ、いばらの道でしたが、話術が素晴らしかったので「コーチング専門」になってみてはどうか?とアドバイスしました。
当時、離婚されたばかりで心のケアの勉強もされていたことから、すんなりと「コーチング」を勉強し、この勉強がのちの大手の業務委託に繋がるきっかけとなりました。
お金を持つと、変わっていく身なり・自信。。。
業務委託の仕事は、破格値で1年目800万円、2年目1200万円、3年目1500万円となりました。
なんせ国の事業だったわけですから補助金で賄えていたのです。
年収が上がるにつれ、洋服や高い場所での飲食、旅行など、派手に使っていて、周りからは「金がある」人と思われていました。
ただし・・・!
国の補助事業というのは3年後には終了します。3年後は自立化する目的のもと作られた組織は、あっけなく閉店。
閉店する半年前に、「何とかしなければならない!」と、法人化する運びとなったのです。
法人化することで仕事が入ることはない!
これは、私が何度も彼に対しアドバイスしてきた言葉です。
法人化すれば、大手の仕事がたくさん入る・・・そう思う人も多いですが、個人事業主となんら変わりません。
むしろ法人化するほうがリスキーな事も多いわけです。
小さなところから「コツコツ」と始めるほうがいいよ!!
私の第一声の言葉はこれでした。
でも彼は・・・
事務所賃料8万円、正社員2名、バイト2名 4名の従業員で頑張ります!
あっ、銀行から500万円の創業融資受けたんで、大丈夫です。しかも、半年後から返済が始まるから楽勝です。
あまなつさんの会社の売上なんて、すぐに越せますから心配無用です!!
正直、開いた口がふさがらなかったことを思い出します。
彼のために、会社を維持する金額や雇用するリスク、社会保険料など数多くの問題を約50時間もかけてレクチャーしたはずなのに、スタートがここから始めるとは、法人化6年の私でも恐怖でしかありません。
500万円の融資ならば、スタートから猛営業しないと回せません。
4名の従業員の給与、社会保険料を負担すると月に安くとも100万円は出費。
事務所家賃、光熱費、通信費、看板、名刺等にかかる広告費は月に30万円は必要。
これとは別に、交通費・営業費がかかってくるわけです。(実際これ安く見積もってますが)
「長くて半年しかもたないいんじゃないの?」
私の精一杯の意見でした。
少なくともバイト2名は必要ないし、正社員は歩合給にしたらどうか?とアドバイスしましたが、聞く耳持たず。
夢が膨らんで話を聞きません。私の会社を追い越すのは喜ばしい事ですが、足元がガタガタなのが分かっていません。
夢が膨らむと、人の意見なんてまっとうに聞く人なんていないんだな・・・そう思いました。
さてさて、その後どうなったか??
1ヶ月目(前半):事務所の改装と看板、名刺、広告づくり
大事な要素ですが、改装費・広告費に80万円かけました。
自分でデザインすればいいものを、デザイナーに外注するという行為にいたり結構な初期投資です。
1ヶ月目(後半):スタッフ全員で何をするかを決める毎日会議
全くもって無駄。事業計画も無しに、スタッフ全員でこれから何をやろうか??と考える会議を毎日行っていました。
結果、3本柱でやるという意見に落ち着いたようですが、この話し合いや前半の初期の事を考えると1ヶ月の給料は無駄としか言いようがありません。
2ヶ月目(前半):今までのお客様に案内状、挨拶まわり
法人化したことで、今までのお客様にあいさつ回りにいかれました。
当然、うちにも3名の方がいらっしゃり、仕事をシェアしましょう!という事を何度も言われました。
シェア・・・シェア・・・・シェア・・・・?????
2ヶ月目(後半):営業活動と打合せ・飲み会
そこから従業員総出で営業活動を行いました。毎日打合せで忙しい!とのこと。
当時の彼のツイッターにはこう書いてあります。
「1年目で1億円目指せそう!1億円目指せなかったら会社やる意味ないよね!!」
「みんな共感してくれて、とっても面白いことができそう!」
「技術持っている人、この指とまれ!今から革新が起こる!」
営業活動で、景気が良かったのでしょう。飲み会にも誘われ「決起大会」として大盤振る舞いしていました。
3ヶ月目(前半):仕事ないですか?の電話
ツイッターから、順調に進んでいると思っていたのもつかの間、何度も何度も着信が入ります。
「何?」と聞くと「仕事ないですか?なんでもやります」とのこと。
「えっ?営業活動頑張っていたんじゃないの?」
「いや、実は、打ち合わせで企画通らなくて、仕事には至らないものばかりなんです」とのこと。
結局、営業活動はしていたが、企画書やらを出しても通らず、肝心の仕事(お金)にはつながらなかったとのこと。
クロージング出来ないのは致命的です!!
いろいろな所に積極的に打合せ行くのはいいですが、自分の時間、自分の金を使って相手の有利になる提案をするのは愚の骨頂。
自分の投資額が回収できるか?を模索して、自己資金を投入するのが大事です。
3ヶ月目(後半):従業員の仲が悪くなる。社長もうつ気味に。
みんな意気込んで1億円稼ぐ!といっていたのもつかの間、営業活動に成果が全く上がらず、従業員の仲が悪くなります。
「あの人は働いていない」「あの人は営業ばっかりで楽している」
毎日、社長の所へ従業員が文句を言いにくる状態に、社長もうつ気味になってきました。
「このままじゃ、給料が払えない!」そういう社長に、社内もぎくしゃくしてきました。
自分だけは残りたいと思う従業員の葛藤が良く出てきます。
だからこそ、スタートダッシュはミニマムに行う必要があるのです。
4ヶ月目(前半):30万円で委託した仕事が、クオリティ低くて悶絶。
そのころから、毎日毎日電話がなるようになりました。
「何でもいいから仕事が欲しい」
そこで、30万円程度の仕事をお願いしました。がしかし!!!
クオリティがめっちゃデタラメで素人に頼んだような内容。「デザイナーいるんじゃなかったの?」
こんなレベルではクロージングできんわ・・・とガッカリしました。
もうその30万円は捨てたものとして、あまなつの社内できれいく仕上げましたが
ここには2度と頼まん!と怒ったのを覚えています。今でもいかり沸々・・・。
単価を下げたくないのであれば、社内教育が必要。
社内のレベルが低ければ、いくら営業を頑張ったとしても、次につながりません。
4ヶ月目(後半):来月から始まる返済をどうするか?手持ち80万円
そのころには、パートが2人辞めました。
残る正社員2名も、1名は給料なし、1名は歩合給へとシフトされ、家賃8万円の事務所には誰も寄り付かなくなりました。
手持ちは80万円。来月から8万円の返済がスタートします。もう限界・潮時でした。
5ヶ月目:自己破産を考え始める。
パートが辞めたことで、雇用保険の清算や社会保険料の清算が発生し、手持ちは30万円となりました。
また、パートも出資金として2名で50万円出していたので、その返済電話もかかってきます。
さらに、返済8万円の引き落とし1回目で、手持ちは1万円となりました。
社会保険は1ヶ月遅れて請求が来ます。また従業員が辞めると住民税を一括して納めなければならない。
通常は社会保険や住民税は、別通帳で保管しますが、保管せず売上として使用していたため、思わぬ出費が発生します。
ラスト:家賃が払えず、返済が払えず、やむなく弁護士へ。
うちに来たときには、ボロボロでしたが、前回の30万円の恨みもあったので、弁護士を紹介。
なんと500万円借りた創業資金をたった1回の返済で、終了させてしまいました。
銀行から借りる事業資金は、連帯債務は社長である人間。当然連帯債務者としての責務が発生します。
最終的に、彼は「自己破産」の道を選びました。
その費用も貯蓄しておかないと、苦しい状況に陥ります。
私は、安易な起業は進めません!
いかがでしたか?
私の友人である彼の話。
彼は、自己破産して良かった!といっていますが、巻き込まれて出資金を出し合った従業員のことを思うと、いづれ罰が下るのでは?と思います。
今でも彼はツイッターで、新しい職場で、飲み会やら高額商品を買った!など、発信し続けていますが、良い印象は持ちません。
私が従業員だったら、新しい職場での給料で返済してくれって思います。評判も落ちています。
そして創業資金で借りたお金・・・これは国の税金です。
国の税金が、税金を払わない企業の私利私欲に使われている事を考えると、やりきれなく思います。
私が学んだのは、
大きな口を叩く人=信用に足らない人である。
彼の場合は、最初から会社の規模を大きくすることにとらわれず、小さなことから自宅でもコツコツと始めてれば良かった。
そうすることで、リスクは最小限に抑えられた。ひき戻しも出来る。
上手に営業活動していれば、いずれ、賛同した仲間が現れます。
「歩合給でもいいよ!」という人を選ぶべきでした。
最初から、給料があるから働くといった雇用ありきの人たちを入れるリスクは、今後の仕事にも影響します。
人を雇用するのは、安定した売上が上がってから・・・
これを最初に知っているのと知っていないのでは、成功するか自己破産するかになる訳です。